高校生クイズの決勝戦をテレビで観た。
わたしが分かったのは醍醐味とパノプティコンと論語の漢文だけで、後はちんぷんかんぷん。数学オリンピックの問題やらメンサとよばれるIQ140以上の集団から出された問題やら。ここまでくる高校生たちは最難関の大学も合格するくらいの人たちなのだろうと思う。しかし決勝の最後の最後の問題で、拍子抜けした。
雌雄を決した最後の問題が孟浩然(もうこうねん)の漢詩「春暁」(しゅんぎょう)の承句(第二句)を(ひらがなでもいいので)書き下せという問題だった。で、ここまで勝ち抜いてきた優勝候補筆頭のチームが敗れた。何か異様な感じだった。
この違和感は二つある。しかもつながっているところが困る。
1 「春暁」は中学校レベルの漢詩。実業高校の教科書にも載っているし、漢詩の中では入門中の入門みたいな唐詩の代表、人口に膾炙したもの。これが分からないということは、昔の日本人が小さなころから学んできたような古典教養を、今の「エリート」高校生たちがどれほど身につけて来ていないのか、ということを浮き彫りにさせた。
2 「春暁」は(漢詩という)日本の伝統的、入門的な古典だった。それをあえてこの場面で出題した。出題者の意図は、日本の古来からの「伝統」文化をいかに現在の高校生たちが身につけて来ていないのかを浮き彫りにさせ、かつその「伝統」文化を学校教育でどれほど教える必要性があるのかをアピールすることではなかったか。
新しいガクシュウシドウヨウリョウには「神話」を教えろとまで明文化されている。テンソンコウリンもふくまれるのだなあ思った。
神話からカミカゼまではあと一歩