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顔なしの寄る辺なさ──『千と千尋・・』を観て

 さいきんDVDで『千と千尋の神隠し』を子どもたちと観ている。子どもたちは何度観てもあきないらしい。

 主人公の千尋が、ふしぎなお化けの世界(?)から、さいごにまた両親のもとに帰り、通常の人間世界へもどるのだけれど、お化けの世界の方がリアリティも人情も豊かで、人間の世界の方がかえって殺伐とした世界に感じてしまった。あのお父さんとお母さんのもとにいるより、なんだかおそろしげだけれど、温かみもある魔女の双子のお婆さんたちの近くにいたほうが千尋にとって幸せなのではないだろうかと。

 そのほか、いろいろなキャラクターが出てくる。龍がすぐに「あ、お化けだ!」と指さす「顔なし」というお化けなのか神様なのか分からないふしぎな者など。かれは「無垢(イノセント)」であるが故に孤独であり、強欲であり、従順であり、子どものようだ。顔のある者たちの存在感の強さに対して影が薄く、幸も薄くて行き場がない。そのような陰の存在に対しても千尋は温かい。お化けの世界には主人公のそういう温かさを引きだすおもしろい存在にあふれている。

 あらゆる登場人物のなかで、この「顔なし」ほどリアリティにあふれるものはない。これが人間の本質なのではないかとさえ思った。どこから来てどこへ行くのか分からない行き場のない放浪者。その「寄る辺なさ」。

 彼岸と此岸とを分ける「三途の川」のような境界地(グレンツラント)があって、彼岸の入口にトンネルのような大きな門があるというのは何か示唆的だ。その門の内部は教会の内部のようで、ステンドグラスを通す光や人気のないベンチなどが見え、なにか「忘れられた」静謐な感じがある。神霊の世界あるいは死後の世界への玄関を暗示しているのだろうか。

 人は死んだらどこへ行くのか、ということが労働組合の執行委員会でちょっと話の種になった。さいきんの若い人はどうもオカルトを信じる人が多くなっているようだね。そうそう、人は生まれ変わると信じてるらしい。おかしな風潮だよ。うんぬん。

 たしかにその通り。そしてそのように(批判して)いう「あなた」も「わたし」も、いったいなんのために、「どこから」来たのか。「あなた」も「わたし」も寄る辺のない「顔なし」ではなかろうか。「わたし」とか「いのち」とか「そんざい」とかをだれが与えてくれたのだろうか。無から偶然が生み出したものか。などと、とりとめもないことを思いながらわたしはその会話を聞いていた。
 
 神様が囲碁を楽しんでいた。そこへ猫たちがやってきた。猫たちは囲碁などまったく理解できない。ただ碁盤の上の蝿を眺めていた。ある猫がその蝿に手を伸ばしたら、打ったばかりの碁石に触れて少しずれてしまった。それを見ていた神様が「これはなんと、すごい手があるものだねえ」と感心した。猫は何をほめられたのかも知らず、ひたすら蝿のゆくえを追っていたという。

 猫たちには神様たちが何をしているのかまったく分からない。人間はこの猫のようなものか。あるいは碁石なのか。

 さっきの碁石が「この手はおれが考え出したものだ。おれはじぶんの意志でここへじぶんを置いたんだ」と言う。ある碁石が「この世界(碁盤)もおれたち(碁石)もぐうぜんに生まれてここへ置かれたんだ。だからそれぞれ勝手に活きればいい」と言う。ある碁石は「なんのために世界やおれたちがあるんだ?このような形をしているものが、ぐうぜんに生まれてぐうぜんに並べられているなんて有り得ないじゃないか」と言う。「そんなことを考えるより、じぶんの置かれた場所でじぶんなりに働けばいいじゃないか」と言う者もいる。「勝負が終わったり、取られたりした後は、おれたちはどうなるんだろう?」と言う者もいた。

 こうして「考える碁石」たちが碁盤の上で「置かれたり」「つながったり」「切られたり」「捨て石にされたり」「活かされたり」「殺されたり」しているが、いったい碁盤全体を眺めて一つ一つ碁石を置いたりはがしたりしている「者」はだれなんだろう?

 そんなことを考えてみても、しょせんこの宇宙という「囲碁」の意味や「碁盤」の上に並べられている諸物のかかわりなど理解しようがない。さっきの猫が囲碁を眺めるようなものだ。

 ただその猫も、「川向こう」から吹いてくる風を感じるときがあって、「向こうの世界」へ紛れ込んで行って、こちらの世界を逆さまに眺めてみたくなることがある。『千と千尋の神隠し』を観ながら何か郷愁のようなものを感じたのはこういうことなのだろうか。
mojabieda * 映画 * 20:45 * comments(0) * trackbacks(2)

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囲碁、定年から始める囲碁

定年して趣味に困っていませんか?今人気の囲碁もワクワクしますよ
From 囲碁、定年から始める囲碁 @ 2007/02/12 2:28 PM

http://umaxst.com/8CE990CE/

碁石碁石(ごいし)は、囲碁、連珠に使用する用具で黒・白2色の円形の石。2色で一揃いとなり、ゲームを行なう上では黒181、白180を用意する(ただし、この個数にルール上の意味はなく、対局中に不足した場合は適宜補充する)。囲碁を行なう上では単に石と呼んだりする。
From 囲碁の知識 @ 2007/12/09 1:24 PM
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