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4月5日(火)などのネット記事。みなほぼ同じことを記事にしているが、表題だけを比較してみる。
◯時事通信 「海水から濃度限度750万倍=ヨウ素検出、直接流出ピット付近―東電」
◯朝日新聞 時事通信の記事をそのまま転載
◯読売新聞 「亀裂流出汚染水、立て坑の水と同一か…東電見方」
◯宮崎日日新聞 「汚染拡大防止へ薬剤注入 高濃度、石の隙間から流出 」
◯しんぶん赤旗 「濃度限度の1億3500万倍」(これだけは4月6日のネット記事。赤旗は商業紙とはちがい1日ほど遅れるようだ)
なんのことかというと、5日に東電が発表した「福島第1原発2号機の取水口付近で高濃度の放射性物質を含む水が海に流出している問題」の記事。
しんぶん赤旗の「濃度限度の1億3500万倍」だけは、ほんとうだろうか?と異様に目に映る。時事通信の「濃度限度750万倍」とずいぶんちがうではないか。
赤旗の「濃度限度の1億3000万倍」とは2号機の取水口付近にあるコンクリート製の穴(ピット)の周辺から海へ流出した水に含まれるヨウ素131の濃度だという。「流出口」から1立方メートル当たり540万ベクレルのヨウ素を2日午後4時半に採取したという。これは国が定める海水の濃度限度の1億3500万倍に相当するらしい。
では「750万倍」というのは何かというと「2号機ピット付近の海水」から濃度750万倍のヨウ素131を検出したのだという。つまり
■「1億3500万倍」とは、2号機の取水口から海へ「流出」した水を採取したもの
■「750万倍」とは、2号機付近の「海水」を採取したもの(取水口から離れているから、とうぜん薄まっている)
という違いなのだ。
では、赤旗以外の他の新聞社などは「流出」水の1億倍うんぬんは記事にしていないのかというと、それらしいことはみな記事にしている。
◯宮崎日日新聞 「ピット内部の水や、亀裂から流れ出る水からは同520万〜540万ベクレル、落ちた先の海水からは同約30万ベクレルの濃度で検出。海水の濃度限度(同0、04ベクレル)と比べると、流出している水は約1億3千万倍、近くの海水は750万倍の高濃度に当たる」と、1億3千万倍を記事にしているが、見出しにはない。
◯時事通信(および朝日新聞) 「2日正午前に採取したピット内の汚染水に含まれるヨウ素は、1立方センチ当たり520万ベクレルで、濃度限度の1、3億倍に相当」とある。採取した時間と数値とが少し違うが、それでも「濃度限度の1、3億倍」を記事にしているが、「750万倍」の方を見出しに選んでいる。
◯読売新聞 「東京電力は5日、福島第一原子力発電所2号機の取水口付近の亀裂から海に流出している汚染水から、1立方センチ・メートルあたり540万ベクレルの放射性ヨウ素131が検出されたと発表した」と記事にしている。この540万ベクレルとは国の定める濃度限度(0、04ベクレル)の1億3500万倍に相当するのだが、540万ベクレルだけ記事にして、濃度限度の1億3500万倍ということは記事にしていない。もちろん見出しにはない。
すべての記事は「事実」のみ正確を伝えている。決して当局が規制しようとしている流言蜚語ではない。
では、「750万倍」と「1億3500万倍」と、どちらの方に「ニュースバリュー」があるのだろうか。どちらに視聴者は注目するだろうか。どちらを視聴者は大変な事実だと認識するだろうか。とうぜん1億3500万倍のほうだろう。ではなぜ、薄まった750万倍の方を見出しにするのだろう。あるいは540万ベクレルのみ記して、それが濃度限度の1億3500万倍だという大変な事実を記事にして伝えようとしないのだろう。
これらを見ると、マス・メディアがだれと組みしているのかという姿勢がよく見えるのではないかと思う。