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泥舟の話

 ある島の漁村の話だ。沖へ出て漁をする舟は今まで木や鉄でつくられてきたが、泥の方が安価だった。それで金もうけしたい連中が島の村役人と謀って泥舟を作ったのだが、村人たちはとうぜん乗ろうとしない。そこで役人たちは「泥舟安全寄合所」とか奇っ怪なことに「泥舟保安所」などというものをこしらえて、「泥舟は安全です」と言い続け、保安所などは「泥舟やめますか?漁やめますか?」とも脅した。村人たちは半信半疑ながら役人たちの言うことを信じて泥舟に乗り続けた。しかしとうとうある日のことだ。一艘の泥舟が大波をくらってすぐに化けの皮がはがれ、水漏れして沈み始めた。これを役人たちは「想定外」の大波だったと言い続け、舟に乗っている人たちに「自主避難」と称してじぶんで逃げよと呼びかけた。大波に想定外もない。その島は波が打ち寄せる海に囲まれているのだから。

 ともかく舟底から水がもれだしたから、舟修理の人たちが一生懸命水をかきだす。これを別の島の人たちは「絶望的な戦いだ」とうわさしていた。そもそも泥舟なのだった。

 役人たちはかわら版の発行人たちに、この泥舟事件を大きく知らせるな、と命じた。問題は舟底の状態だが、すでにパックリ口をあけて割れていた。どうしようもない。かわら版にはそのことはずっと伏せられた。それを知らせるとまず修理の人たちが逃げてしまうし、さらに村人たちが泥舟の正体を知ってしまうからだ。かわら版の発行人たちも、じつは金もうけしたい連中にしこたま酒を飲まされていたから、泥舟は泥舟だとも書けなかった。

 あとの話はもうお分かりだろう。

 それにしても、その村では、いまでも泥舟で漁をしているとかいう。

JUGEMテーマ:ニュース
mojabieda * 時事 * 07:18 * comments(0) * trackbacks(0)

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