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落合恵子さんの講演

 

「2010年教育のつどい」(和歌山市)に参加し、落合恵子さんの講演を聴いた。

 演題は「いのちへの感受性──あなたへのメッセージ」。

 まず、現在の社会の問題。たとえば、なぜ熱中症の独居老人が屋内で亡くなるのか、という話をしてくれた。さいきんは熱中症で亡くなる人たちの話がひきもきらない。そのことについて、ただ地球温暖化で暑くなったから、くらいの認識しか持てていなかったが、屋内でエアコンなどの電気代が払えず──というより電気を止められて、亡くなってしまう例をきく。そんな当たり前のことさえ思いつかない想像力の欠如を思った。

 それから私的な話になっていく。落合さんが母親を介護してきた経験談。その母は60数年ほど前に、いわゆるシングルマザーとして落合さんを産み、育てたという。そのころはシングルマザーということばもなく、そのような生き方をした母がどれほどの辛酸を舐め、その生き方を選択するのにどれほどの覚悟が要ったか、ということを想像させるお話だった。落合さんも父のいない子ども(今も使われる当時のことばは「私生児」)として生まれ、ずいぶんつらい思いをしてきたようだ。それで15歳のあるとき、母にどうしてじぶんを産んだのか、と訊いたという。すると母は「あなたが欲しかったから」と一言答えたという。このことばの重みと温かさが印象的だった。

 母は落合さんによれば、学歴はなかったが、知性を持った女性だったという。知性といい教養というのは、人の痛みに対する共感力・想像力・感受性なのだという。いわば「差別」される側でずっと生きてきた母と落合さん、「される側がやわらかく手をつなぐこと」が必要だという。「やわらかく」ということばも印象的だった。

 最後は、その「される側がやわらかく手をつなぐ」ような、長田弘の詩を読み、英語の(従順な母に対する娘の反戦)歌を流しながら、歌詞の意味を滔々と話してくれたが、感動的な詩、歌だった。

 (じぶんの)想像力の欠如、ということで思ったことが一つ。

 やなせたかしの「それいけ!アンパンマン」は昔から子どもに人気のアニメで現在もテレビで放映されている。なぜそれほど人気が続くのか。思うに、アンパンマンにはいわゆる「家族」、たとえば「親子」とか「父親」とか「母親」とかが出て来ないことがその理由の一つではないか、と思った(出て来るのは「姉妹」のみか)。

 世の中には、いわゆる「家族」(親子、父、母)が「タブー」の子どもたちが大勢いる。そういう「家族」は出てこないが、友情や愛情、人間愛(愛と勇気)はたくさん出て来る。「家族」より普遍的な愛情を描いている(あるいは描かなければならない)のではないか、と思った。だから人気が続くのではないかと。

JUGEMテーマ:家庭
mojabieda * 講演 * 09:35 * comments(0) * trackbacks(0)
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